最高裁判所第二小法廷 昭和24年(新れ)550号 判決 1950年6月23日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人伊藤俊郎の上告趣意について。
しかしいわゆる必要的弁護事件を除いては裁判所は被告人の一定事由に基く請求のあった場合にのみ弁護人を附すれば足るものであって、このことは刑訴応急措置法第四条の合憲性についての大法廷判例の示すところである(昭和二四年(れ)第六八七号、同年一一月二日判決)ところで被告人は第一審において貧困その他の事由によって弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨の告知に対して貧困により弁護人の私撰をしない旨の回答をしたに止まり何等積極的に弁護人選任の請求をせず又第一審においても何等その請求をしないで審理を受けているので、このような場合には第一審裁判所が国選弁護人を附しなかったからといって違憲ではなく従ってこの判決を是認した原判決には憲法違反の点は存しない。また本件は刑訴第四一一条を適用すべき場合とも認められない。
よって刑訴第四〇八条により主文のとおり判決する。
右は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)